「クラインの壺」岡嶋二人
2006-10-16 Mon 18:00
久しぶりに本の紹介です。

最近、書店で平積みで置かれるようになってきた、岡嶋二人の最終作、『クラインの壺』です。


主人公は2000万円でゲームブックの原作をイプシロン・プロジェクトという謎の企業に売却した青年。彼がノートにしたためた回顧録の形でストーリーは展開します。

彼の原作を元に開発されたヴァーチャルリアリティシステム『クライン2』の制作に携わることになりますが、やがて事件が発生! 現実と仮想現実のバランスが次第に崩れ...

2005年に「この文庫がすごい」で前作の『99%の誘拐』が1位となり、一気に注目を浴びている岡嶋二人ですが、私もその例に漏れず『99%の誘拐』を読んではまってしまった一人です。

その期待感を持ってこの作品も読みましたが、全く期待を裏切らないスゴイ作品になっています。

全編を通じて維持し続ける緊張感、そして細かい描写は特筆すべきものがあります。特にヴァーチャルリアリティシステムの描き方は、1989年(17年前!)に発表されたものとは思えないほどリアルで、今の時代に読んでも何の違和感も感じさせないほどです。

さらには最後の “オチ” !! ネタバレになるので細かくは触れませんが、仮想現実なのか現実なのか混乱させて、その混乱のまま最後を向かえ、結局は明確な答えを明かさないまま... う〜ん、何ともにくいやり方です。

もし本格的なミステリー&エンターテインメント作品を読みたいと思ったら、間違いなくオススメです!!
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「町長選挙」奥田英朗
2006-05-03 Wed 10:28
気付けばアクセスカウンターが20,000を超えていましたね... 常連の方々、検索してたまたまアクセスされた方々、そして通りすがりの方々にも感謝感謝です。

世間ではGWという日本固有の一大イベントが実施されているようですが、今の私にはほとんど関係ありません(海外にいるわけでもないんですけどねw) ということで、この書き込みも会社からです(苦笑)

久しぶりの書き込みは、『空中ブランコ』で直木賞をとった奥田英朗の規格外精神科医 伊良部シリーズの最新作です。



それにしても相変わらず笑わせてくれます。特に今回は、某新聞社の会長兼超有名野球チームのオーナーだった大物人物や、○○エモンというあだ名で世間を賑わせた元有名IT企業の社長が出てきます(と言っても実名が出てくるわけではありませんが、でもどう見ても同一人物としか思えませんw)

そんな有名人を含めて色んな悩みを持った人達が、とんでもない精神科医伊良部が、これまたとんでもない治療方法(これって治療なの?)で治しちゃいます。その面白さ、そして痛快さは、どんどん読み進めたくなってしまう程です。

伊良部シリーズの前2作に比べると面白味に欠けるといった声も聞かれますが、それでも十二分に面白い作品ですので、特に本を読むのが苦手な人や、本を読む習慣がない人には、読み易さではお勧めですね。

ちなみに前2作と合わせて読むと、その面白さはもっと膨らみますので、是非!!



※ちなみに今まで読んだ直木賞作品では最高爆笑傑作だと思います

<追伸>
最近、良く分からないTBが貼り付いてくるようになったため、この記事はTBを制限するようにしました。
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「レンタル・チルドレン」 山田悠介
2006-02-13 Mon 01:49
「リアル鬼ごっこ」以来、次々と話題作を発表し続けるホラー作家、山田悠介の最新刊です。



テーマはズバリ “人身売買”。それにしてもテーマが重過ぎます...

最愛の一人息子を亡くした夫婦が、子供をレンタルしていると陰で噂になっているPIという会社に行きます。初めは半信半疑でいたのだが、実際にレンタル商品になっている子供達の写真の中に息子の姿を見つけ、すぐにレンタル契約...さらには1000万円で購入してしまう。しかしその子供は...

アイデアにはいつも驚かされますが、今回もタブーとも言える人身売買を取り上げ、いつものように少しエンターテインメント気味の展開でストーリーに引き込んでいきます。

しかし...

初めにも書きましたが、テーマが重過ぎです。ホラー小説なので人が死んでしまうのは当たり前ですが、これまでの作品は半ば劇的な感じで、まさに “ホラー” でした。しかしこの作品では同じ様な展開にしようとしているのですが、相当無理がある展開になってしまってます。おまけにラストも何とも後味の悪い終わり方...というか、何を言いたかった(何を書きたかった)のか良く分かりません。

ホラー小説に教訓を求めるつもりはありませんが、せめて読者をアッと驚かせるような展開、どんでん返しが欲しかったですね。
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「容疑者Xの献身」 東野圭吾
2006-02-05 Sun 02:27
数学博士つながり...というわけではありませんが、ここで直木賞受賞作「容疑者Xの献身」の話です。

東野圭吾、最近は「白夜行」の作者として有名ですが、他にも多くの作品を書いています。しかしこういう多作の作家はきっかけが無いとなかなか読む機会がありません。



そんな時に直木賞受賞のニュースが!! ということで早速購入したわけです。

かつては数学者を目指していた数学教師。そして同じアパートの隣の部屋に住む母娘。ある日、その母娘が別れた旦那を絞め殺してしまいます。その様子を知った数学教師は母娘のことを守ろうと、完璧な計画を練り上げる...

さすが直木賞受賞作です、最後まで一気に読んでしまいました。緊張感のある展開は、次が読みたくてウズウズしてしまう程に引き込んできます。何よりも面白いのは、この天才数学教師と大学の同窓生であり、刑事の友達でもある、これまた天才物理学者とのやりとり。凡人には分からない崇高なやりとりで、数学教師は完璧な計画を守り、物理学者はその計画を見破ろうとします。詩的な言葉で交わされる会話は、非常に綺麗です。

数学教師が練り上げた計画、「博士の愛した数式」で博士が描いた数式、内容や意味は全く異なりますが、両方とも実に美しい!!

他の東野圭吾作品(特に「白夜行」)も読んでみたくなる1冊。かなりお薦めです。

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